ソガイ

批評と創作を行う永久機関

2017-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アメリカ禁書ランキングトップ10 2016年度版 後編

ランキング一位 「This One Summer」を読んで 一位の「This One Summer」をKindleで購入して読んだ。そもそも同作が禁書になった理由を振り返ろう。LGBTの人物が登場し、薬物が使用され、不敬*1で、「大人びたテーマと相まって性的に露骨」だと考えられたか…

『デレマス』独断と偏見に基づいた映像論的なもの 後編

4 光と影――期待と不安―― もっともこれは映像の世界においては常套手段といえるものであろうが、『デレマス』も数多の映像作品の例にもれず、光と影の対比がところどころで用いられている。場面として明るいシーンでは全体的に明るく、シリアスなシーンでは…

『デレマス』独断と偏見に基づいた映像論的なもの 中編

2 彼女たちが中央に立つとき 注意してみれば意外なほど明確でありながら、しかし意識していないとそうそう気づけそうもないのであるが、第一話において、人物が画面の中央に立つ場面は、実はそれほど多くない。 例外的に、シンデレラガールズのメンバーが『…

『デレマス』独断と偏見に基づいた映像論的なもの 前編

『アイドルマスター シンデレラガールズ』 いちファンによる独断と偏見に基づいた映像論的なもの これは、アニメーションはおろか、映画における表現方法の歴史もろくに学んでいない、正真正銘の門外漢による考察である。 世の中にはいま、論じやすいアニメ…

アメリカ禁書ランキングトップ10 2016年度版 前編

アメリカ図書館協会 (en:American Library Association, ALA)は「Top Ten Challenged Books」というランキングを発表している。意訳すればアメリカ禁書ランキングトップテンとも言うべきものだ。ただ、ここでchallengedという言葉は禁書運動のことを指してい…

書評 申 東赫『収容所で生まれた僕は愛を知らない』

まるで小説のような書名であるが、本書はノンフィクションである。朝鮮民主主義人民共和国*1の収容所に生まれた著者が自身の過酷な半生を綴ったものだ。著者は一九八二年生まれで二〇〇五年に中国に脱北した。 引用は、全て同書からである。 政治犯収容所完…

書評 ケン・リュウ 紙の動物園

今回の書評で扱うのは『ケン・リュウ傑作短編集1 紙の動物園』である。長々しくなるのでタイトルでは省略した。元々『紙の動物園』という題名で出版された一冊の短編集を二冊に分冊したものだ。七つの短編が収録されている。 作者紹介 ケン・リュウは中華人…