ソガイ

批評と創作を行う永久機関

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

梅崎春生『怠惰の美徳』をだらだら書評する。

文庫で三〇〇ページ程度のこの本には短編、エッセーが数多く収録されている。よって、一つ一つの文量は大したものではない。特に短い作品など二ページほどしかない。ちょっとした空き時間に、気楽に読み進められる本である。 「怠惰の美徳」*1という表題作か…

世界を旅する文学 第二回 朝鮮民主主義人民共和国 パンジ 『告発』

知られざる北朝鮮文学 第二回の舞台は朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮と呼称)である。北朝鮮に対する日本人の一般的な印象は、著しく悪いだろう。拉致問題、核ミサイル開発問題などを対外的に抱え、そのうえ内部では抑圧的な政治体制を敷いてるのだから…

『式の前日』感想

ストーリーテラーというのは、こういうものを生み出すことのできるひとのことを言うのだろうな、と思ったものだった。 このマンガがすごい!2013(オンナ編)の第2位にもランクインしたこの作品は、表題作の『式の前日』をはじめとした6編の短編からな…

『ソガイvol.2 物語と労働』紹介

表紙と裏表紙 表紙に書いてあるようにソガイ第二号のテーマは「物語と労働」です。 紙版はB5版で80ページ、定価は500円です。 電子版もあります 目次と概要(クリックすると該当箇所の一部が読めます) 論考 次元を越えた「瓜二つ」―― 磯﨑憲一郎『赤の他人…

文学を歩む~明治五年「かたわ娘」福沢諭吉

福沢諭吉、と言えば、「学問のすゝめ」などの啓蒙書の方で有名だろう。そんな福沢の、これは小説といっていいのか分からない、おそらく寓話とでも言うべき掌編、「かたわ娘」を読んでみよう。 題名が題名なだけに、初回で取り上げるのに多少悩まされた。念の…