ソガイ

批評と創作を行う永久機関

2024-01-01から1年間の記事一覧

荒木優太『文芸時評傑作選』書評

昨今、主に著名人に対するSNS等インターネット上での誹謗中傷が社会問題として盛んに議論されている。これが由々しき問題であることにはまったくの同意であるが、その一方、しかし——いや、それゆえにというべきかもしれないが——私が最近強く感じるのは、どこ…

神社、駄菓子、文学

2024年12月1日、日曜日。 朝7時に目が覚める。前日までの旅行の疲れはほとんど残っていなかった。昨日はホテルのベッドで、内容はよく憶えていないがなにやらとんでもない悪夢を見て、夜中の3時に一度、意識を覚醒させられた。その後も5時に目が開き、そのせ…

短篇作家愛好者の苦難——中村ゆうひ「変わり刃奇譚」から

私は小説に限らず、短篇というものが好きだ。漫画についても同様なのだが、長篇と比較したときの難点は、雑誌やWEB漫画サイトに掲載された作品が書籍化されず、読みたいと思ったときには容易には手に入らなくなっている可能性が高いことだ。なんとか雑誌のバ…

物事、とりわけ好きな/嫌いなことを論じる難しさ—『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』メモ

三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)は、社会人となってから本を読まなくなってしまったことにショックを受け、3年半後に本を読むために退職、現在は文芸評論家として活動している著者が日本の近代以降の労働史と読書史を並べて…

2024年5月19日雑感

文学フリマ東京のことについて、急速的な拡大による変化や入場費導入など、さまざまな指摘や批判がなされているようだ。私としては数年前から、スタンスは少し違えど同じようなことをずっと言い続けてきたので、これ以上つけ加えるつもりはない。また、かつ…