ソガイ

批評と創作を行う永久機関

葉々録 2026年7月—モノに託された想い

2026年7月 今月は2つのイベントに参加してきた。ひとつはscoolの「今が危機なのか? 本と出版と文芸をめぐる緊急ミーティング」(7月7日)、もうひとつが「PASSAGE3周年記念 書評講座〈実践編〉プレイベント『書評の効用』」(7月14日)。 出版取次最大手の…

『ひまてん!』試論:「家内ちゃん」の必然と、「家事代行狂」の終わりについて:公募ジャンキーに向けて(7月)

※小野玄暉『ひまてん!』最終96話までのネタバレが含まれています。 ※引用は基本的に電子版『週刊少年ジャンプ』より行っています。各画像にサブタイトルと号数を記載しています。 『ひまてん!』は2年間の連載の末に、バッドエンドを迎えた。 www.shonenjum…

〈非文学〉=ノン・フィクションへの入口——仲俣暁生『ドーナツと双眼鏡』書評

「本好き」と言ったとき、多くの人にその「本」としてまず最初に想像されるのは小説であるだろう。実際、書店の棚を見てみたり、「出版指標」の統計を見たりすると、この国の出版物に占める小説などのフィクション類の割合は思いのほか高い。 フィクションで…

公募ジャンキーに向けて(6月)――芥川賞候補予想と感想

文芸誌を読む修行の一環として芥川賞候補の予想と感想を書きます。 ◎候補作◎ ・仁科斂『丹心』新潮4月号 ・八木詠美『アンチ・グッドモーニング』文藝春季号 ・小砂川チト『ゾンビ回収婦』群像5月号 ・鈴木涼美『悪い血』文學界6月号 ・村司侑『ソリティアお…

文芸誌修行(感想編):2026年6月号

文芸誌に載っている小説を1年間ひたすら読み、修業します。 6月号です。今回はすばる、文學界、新潮、群像の順です。だいぶネタバレありです。 ◎すばる ピンク地底人3号『おもちゃの指輪がほしいねん』 失恋をきっかけに万引きGメンとなったアカリ。先輩のア…

葉々録 2026年6月—「青い」小説と、本をどのように紹介すればいいのかについて

2026年6月 なんだかあっという間だったが、いちおう思い返してみると、「本」や「読書」についてぼんやりと考えた(というよりは考えることを余儀なくされた)、そんな一月だったかもしれない。 「僕は『~みたく』という言い方が非常に嫌いで、今まで一度も…

文芸誌修行(感想編):2026年5月号

文芸誌に載っている小説を1年間ひたすら読み、修業します。 今回は群像、文學界、文藝、新潮、すばるの順です。ややネタバレありです。 ◎群像 小砂川チト『ゾンビ回収婦』 失業した原因をAIに求めようとする「わたし」は、姿を消した夫が残したVRヘッドセッ…