ソガイ

批評と創作を行う永久機関

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

野坂昭如『戦争童話集』をきっかけに考えてみる、「当事者意識」というもの

インターネットやSNS等で、だれでもどこでも、世界中の情報を得ることができるような社会になったが故に、かえって、「当事者性」といったものが持つ力が、もはや特権的とでも言えるくらいに大きくなっているように感じられる。 文芸の世界でも、これはホ…

情報化社会の極限の可能性としての、野﨑まど『know』

野﨑まど作『know』(2013年 早川書房)は、人造の脳葉<電子葉>を人間の脳に移植することが義務化された、2081年の京都が舞台の作品である。 常に周囲の情報をモニタリングしている「情報素子」を散布された≪情報材≫がいたるところに設置されており、人間…

世界から見捨てられた人々、世界を見捨てる人々 『ファイト・クラブ』から見るテロリズム

テロリズム、あるいは個人かせいぜい数人の集団による無差別殺人は現代を特徴づける一つのキーワードかもしれない。これらの事象は国内に限らなければ、それこそ毎日のように発生し続けている。それらの原因は政治、経済、宗教、民族など様々な要素に分解さ…