ソガイ

批評と創作を行う永久機関

社会・政治

野坂昭如『戦争童話集』をきっかけに考えてみる、「当事者意識」というもの

インターネットやSNS等で、だれでもどこでも、世界中の情報を得ることができるような社会になったが故に、かえって、「当事者性」といったものが持つ力が、もはや特権的とでも言えるくらいに大きくなっているように感じられる。 文芸の世界でも、これはホ…

世界から見捨てられた人々、世界を見捨てる人々 『ファイト・クラブ』から見るテロリズム

テロリズム、あるいは個人かせいぜい数人の集団による無差別殺人は現代を特徴づける一つのキーワードかもしれない。これらの事象は国内に限らなければ、それこそ毎日のように発生し続けている。それらの原因は政治、経済、宗教、民族など様々な要素に分解さ…

「ジャンル」を「パラダイム」にしないために

芥川賞・直木賞の季節が、またやってきた。 正直なことを言うと、芥川賞・直木賞の候補作が発表されても、受賞作決定までにそのほとんどの作品を読むことができていない。(今回は芥川賞候補については3作品読んだ。無難、と言われるかもしれないが一押しは…

文学は役に立つ 石原千秋『近代という教養 文学が背負った課題』書評

いちおう私はこういったブログを運営しているわけだが、正直な話、文学研究や批評の類の文章を読んでいても、よくわからないことが多い。それは、自分の頭が追いついていないせいだ、と思って後ろめたさのようなものを感じていた。いや、その意識自体はいま…

書評 『内側から見たテレビ やらせ・捏造・情報操作の構造』 水島宏明

内側からのテレビ批判 この本は凡百のマスコミ批判本、マスコミを批判する言説と、少々趣が異なる。著者の水島がテレビの内側の人間、テレビマンを経験しているからである。水島の経歴は以下の様なものだ。 1957年北海道生まれ。東京大学法学部卒業。札幌テ…

書評 申 東赫『収容所で生まれた僕は愛を知らない』

まるで小説のような書名であるが、本書はノンフィクションである。朝鮮民主主義人民共和国*1の収容所に生まれた著者が自身の過酷な半生を綴ったものだ。著者は一九八二年生まれで二〇〇五年に中国に脱北した。 引用は、全て同書からである。 政治犯収容所完…