ソガイ

批評と創作を行う永久機関

「ナイン・ボウリング」6(宵野過去作)

 

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 小さい数字の球からポケットに入れていくのが面倒になり、とにかく台に乗っている球を弾き飛ばすことだけに熱中する姉は、台に顔を近づけ、手玉を挟んで、いま、もっとも当てやすい九番をまっすぐにらみ、ぎこちない動きでキューを前後させながら、高校、どうだった? と台の反対側でキューの後ろのゴムを床につけて片足体重で立っている幸人に訊いた。幸人はこのとき、高校の卒業式を一週間後に控えていた。

 特に、なにも。素っ気ない返答に、そんなところはこの姉に似なくてもよかったのに、と姉は小さくため息をつく。ようやく手玉に向かって突き出されたキューは、手玉の左端をかすめただけで、手玉はしゅるしゅる横回転しながら、少しだけ右に移動して止まった。難しいね、ビリヤード。そうは言っているものの、いまだキューの構え方すらしっくりきていない幸人からすれば、すでにいくつかの球をポケットに入れている時点で、同じ初心者でありながら、ビリヤードの腕は姉の方が圧倒的に上だった。

 はい、交代。姉は幸人の肩をぽんとたたいて、その手をあごの下に当ててくる。あれからやたら増えたボディタッチは、最初こそは照れくさく、こそばゆかったが、何度も繰り返されているうちに、どうしていままではこうしてこなかったのだろう、と感じてしまうくらい、それはこの姉弟の自然なありかただった。きっといままで、自分たちは余計な要素や文脈にこだわりすぎていて、物事そのままを見ていなかったのだと思った。

 羽月。あの日以来、幸人は自分の姉を名前で呼んだことはなかった。俺、羽月のこと、ずっと好きだったよ。姉は、一瞬だけ目を丸くして、キューごと幸人を抱きしめ、右胸に顔を押しつけてくる。私も、ずっと幸人のことが好きだった。

 すっかり胸に埋められていて、姉の顔はうかがえない。髪の香りとかからだの柔らかさとか、そういったものに意識は向かなかった。ただ、自分はいつのまにかこんなにも、姉の背丈を追い越していたんだな、と思った。記憶に残っている姉は、見上げているか、見下ろしているかしかない。それが少し、悲しかった。

 裕里の投じた球は、三投連続でガーターに落ちた。なぜ自分は、裕里とこうして少なからずの時間をともにしているのだろう。幸人はいまさらながらに考える。たしかに、出会いは印象的だった。あの日以来、幸人と裕里は、かなりの時間を体育倉庫の裏や図書室でともに過ごした。お互いの利害が一致しているから。あるとき裕里はそういった。たしかにそうだね。幸人はそう返した。しかし、果たして本当にそうだったのだろうか。幸人はもちろん、おそらく裕里も、教室という空間にいることが耐えられなかった。しかし学校という空間から完全に逃げることまではできなかった。だからふたりは、学校内で、安寧の居場所を求めていた。だとしても、いや、だからこそ、幸人にとっては裕里、裕里にとっては幸人。お互いの存在は、べつに不可欠ではないはずだ。共感するところがある。しかし、そもそも、その共感という圧力を忌み嫌っていたのではなかったか。ひとりになりたい、という動機に端を発する行動の結果が、ひとりの他者を求めているとは、どうも因果が成り立たない。その違和感が大きくなってきたのも、最近のことだった。

 大学生にとって、夏休みというものはただひたすらに長い。だからといってアルバイトの日数を増やすつもりもない幸人は、いつもの生活から大学の講義を抜いただけのような生活を送っていた。八月が終わり、九月も中旬。ベッドでごろごろしていた幸人の頭の横、携帯電話が震えていた。裕里だった。

 旅行、いかない? 珍しく、疑問形の誘いだった。旅行って、いつ。それは、まだ決めてない。じゃあどこに。それも、まだ。唐突なお誘いがほとんどのふたりの関係とはいえ、ここまで行き当たりばったりなのは、らしくない。それでも、幸人の答えのなかに、ノーの文字はなかった。いいよ、じゃあ明日の朝、迎えにいく。

 しかし、口をついて出た言葉に対して、どうして自分は、こんなことを言ったのだろう。なにも明日、と言わなくても、答えに詰まったように押し黙る裕里の様子を右耳で聞きながら、幸人は自分に問いかけた。裕里の誘いは、基本受けるつもりだった。しかし、それにしてもここまで積極性を出すつもりはなかった。

 たしかに、ほかの学生アルバイトが帰省していたときに代わった分、翌日からが一番まとまった時間がとれた。だとしても、いくらなんでも唐突ではないか。場所もなにも決まっていないのに。このとき、幸人ははじめて、裕里が自分の提案を断ってくれることを期待していたのかもしれない。裕里は、わかった、待ってる、と口にしてから、電話を切った。通話時間は五十二秒。そんなものだったのか、時間の感覚というものもあてにならない。こころのなかで毒づきながら携帯を放り、一瞬だけベッドに寝転がってから結局は跳ね起きて、幸人は高校の修学旅行以来押入れにしまい込まれていたボストンバッグを取り出した。

 朝は、異様にはやく目が覚めた。夏とはいえ、まだ空は薄暗い。始発の電車の時刻を待ってから、家を出る。裕里が住むアパートの前に着いたのは、まだ五時半前のことだった。なにをこんなに急ぐことがあるのだろうか。顔の周りを飛ぶショウジョウバエを手で払いながら、道中のコンビニのフードコートで時間をつぶそうとしなかった自分を恨んでいると、程なくしてエントランスのドアが開いた。こんな時間に出勤とは、ご苦労なこった、と自分を棚上げにして顔を上げると、そこには水色のカーディガンに白のフレアスカートを身につけ、小さなリュックと、少し大きめのボストンバッグを携えた裕里が立っていた。おはよう。裕里はいつもの調子だった。ああ、おはよう。幸人の返事も、いつも通りだった。

 コンビニで軽い食事を済ませてから、在来線でターミナル駅に向かう。いつもならまだ寝ている時間帯なのだが、それでも、もうぼちぼちとひとの姿は見られる。電光掲示板の案内を見ながら、行き先を決める。しかし、お互いにここ、というところがなく、結局幸人が小さいころに何度かいったことのある西方向を目指すこととなった。出張と思しきスーツ姿や、長期旅行者らしき大きなキャリーバッグをごろごろ転がすアジア系の集団の間を抜け、プラットホームで電車を待つ。

 まだ、ほとんど言葉を交わしていない。もともと言葉数は少ない方である裕里だが、いつもとは若干、様子が異なるようだった。電車が入ってくる。窓から見える乗客は、おもしろいことに一様に寝ていた。車内は、冷たい沈黙の空気がこもっていた。ボックス席でいいよな。どうせ向かいには座ってこないだろうし。自然と声が小さくなる。うん。裕里は頷いた。荷物を棚に上げてから、席に腰をおろす。裕里が窓側で、幸人が通路側。なぜ向い合うように座らなかったのだろうか。通路を挟んで向かい側の座席にひとり、でんと座った男性は、イヤフォンを耳にさすやいなや、腕を組んで寝息を立て始めた。

 扉は開いたまま、電車はまだ動かない。裕里は窓から、薄灰色のホームを眺めている。幸人は、そんな裕里のつむじを、なんとなく見ていた。いいのかな。不意に裕里がつぶやいた。それはぽつりとこぼれてしまった独り言のようで、反応しない方がいいのか、とも思ったのだが、気が付いたら聞き返していた。なにが? 窓の反射越しに、裕里と一瞬だけ目が合う。ううん、なんでもない。やはり聞き返すべきではなかった、と幸人は思った。ぷしゅうと扉が閉まり、電車は動き始めた。裕里が高校の修学旅行を欠席していたことを、幸人は唐突に思い出した。帰ってきてから学校ではじめて会ったとき、幸人は積極的にその理由を聞こうとは思っていなかったのだが、裕里の方から言ってきた。たしか理由は、体調不良だった。おそらくそれは、噓ではないのだろう。

 電車の窓から流れる景色を見ることが、幸人は好きだった。いや、というよりは、電車という空間で、しかも、それなりの乗客率の電車、本を広げると携帯電話をいじっているひとから舌打ちか非難の目を受けることになる空間のなかで心置きなくできることが、それくらいだった。ひとの顔などを見ていても少しもおもしろさはなく、週刊誌の中吊り広告の扇情的な文句の見出しは、自分が忌み嫌う言葉の使い方の標本でしかない。政治には多少なりの関心はあるが、政治家のスキャンダルには興味がなく、話題の女優やアイドルはどれも同じ顔に見えるし、結婚やら不倫やら離婚など、勝手にやってくれればいい、としか思わない幸人には、やはりおもしろさはない。

 小さい頃、大人とはみんな、とても素晴らしい生き物なんだ、と思っていた。ものを知っていて、理性があって、知性があって、責任感があって。大人になればみな、無条件にそうなるものなんだ、と思っていた。それがあまりにも大きな勘違いであると気付くのに、それほど時間はかからなかった。

 それは普通に生活をしていれば、おのずとわかってくることだったけれど、とどめとなったのは、成人式というものだった。中学、高校と私立の学校に通っていた幸人には、地元の友人、と言えるようなものが小学校にしかいない。その友人とも、卒業以来はまったく会ったこともなかった。それはてっきり、ほかのひとたちも同じことだと思っていたのだが、式典が始まる前に話をしているなかで、それなりのメンバーは、違う学校に行ってもからもしばしば顔を合わせていたことを知った。式典の後、こんど、同窓会をやるから、ということで連絡先を交換した。その夜、実際に誘われた。なんとも言えない、妙な感覚だった。

 いまになって思えばそんなものは社交辞令なのであって、卒業してから一度も遊んでいない幸人などはその時点でもう部外者だったのだから、よすべきだったのだろう。しかし、なにかを期待していたのだろうか、いや、なにかにすがりたかったのかもしれない、幸人はわりと早い段階で参加の希望を出していた。

 その後の飲み会について、語るべきことはほとんどない。当然の結果に終わっただけなのだから。たしかその翌日だったろうか、裕里と会ったときに、おそらく初めて、愚痴というものを言ったと思う。裕里はそもそも、成人式に行っていなかった。べつに義務ではないから。着付けとか面倒だし。あくびでもするかのようにそう口にする彼女に、幸人は、自分の愚かな行動を笑い飛ばして、思い切りばかにしてもらいたかったのかもしれない。なにらしくない期待をしているんだ。高校の三年間を、教室ではなく、体育倉庫の裏か図書室かで過ごしてきた人間のくせに。身の程をわきまえるべきだ。そうとでも言ってくれれば、幸人はとりあえずのところ、幾分か救われたのかもしれない。

 その日の居酒屋は座敷だった。隠れ家的な雰囲気が魅力らしく、ひと席ひと席が壁とのれんで仕切られていた。裕里はうつむいて、箸の先で牛すじ煮込みの脂身をつついている。そのあいだ、一分だったか、十分だったか、どうも思い出せない。裕里は脂身をあいている取り皿にどけて、結局は大根に箸を入れて割ってから食べる。いつも以上にゆっくり、たっぷり噛んでから飲み込む。そっか。裕里はぽつりと口にした。やっぱり笠松くんは、期待しているんだね。

 なにを、ということは直接口にはしなかった。しかし、幸人にはなんとなくだがわかった気がした。反射としては、うん、とは頷けない。でも、実際はそうなのかもしれなかった。自分は、どこかでこの世界に期待をしているのではないか。きっと、どこかに自分が求めているような世界がある。実は、見えていないだけで、それはすぐ身近にあるのではないか。何度も何度も裏切られているけれど、それでも、自分はこの世界を好きでいたいのではないか。そして、好きになれるはずなのではないか。

 裕里があの卒業式の日、私、この世界の九十九・九パーセントに絶望してるの、とこぼしたとき、幸人は、きっと彼女の言葉に頷いていたのだと思う。現在まで裕里とのつながりが続いていることに、もし理由があるとすれば、きっとそれだ。その首肯は、偽りではない。ほかの場面、たとえば同窓会の席で、笠松くん、彼女はいるの? と訊かれて、いや、いないよ、と答えたときに、えーうそー!と大げさに驚いた女子ふたりが、大丈夫だよ、笠松くんならすぐ彼女できるって、と励ましてきたときにしていたような、作り笑いを伴う頷きとは違ったはずだ。

 だったら、それは完全な同意だったのか。幸人の場合、九十九・九パーセントに絶望しているのは、〇・一パーセントに、これ以上はない、というくらいに、期待や希望を抱いていることの裏返しなのではないか。その疑問は、いまだに拭えないでいる。

 西に向かう電車のなか、幸人は窓の外の移り変わる景色を眺めていた。一駅区間が長く、各駅停車とはいえ、いつも大学に行くときに乗っているような首都圏の電車と比べると幾分か速いはずなのだが、体感としてはむしろ、いつもより緩やかに感じる。裕里の横顔越しにみる車窓からの景色は、ある段階を過ぎると急に都会の景色から遠ざかる。建物が低くなったせいか、空が広くなったような気がした。一戸建ての住宅ばかりが目に入る。駅に止まるために電車が遅くなるとき、ほんの数秒だけ、ロータリーを中心にかろうじて店が集まった風景が見られるが、その様子がかえって、都会から離れてきたことを感じさせた。

 どこで降りるの。それまでずっとだんまりだった裕里が、出し抜けに言った。ふたりは、初乗り料金の切符を買っていた。適当なところで降りて精算するつもりだった。次のところでいっかい降りるようか。朝がようやく過ぎたとはいえ、まだ昼というには早い。それくらいの時間帯だった。わかった。裕里の首肯に、幸人は荷物を降ろして渡す。裕里は、受け取った鞄を胸に抱え込んで、あごを埋めた。

 都会とは、空気もそうだけど、地面が違うような気がする。電車を降りてから改札に向かうまでの間に幸人がそう言うと、足音がしっかりしているね、と裕里は自分の靴のつま先を見つめながら言った。それにしても、あまりにもひとが少ない。そもそもあの電車からこの駅に降りたのは、自分たちふたりだけではないか。看板でたしかめてみると、ここは普通列車しか止まらない駅らしい。こんなところで降りても、それこそ、なにもないのではないか。幸人も、そしてきっと裕里もそんなことは当然考えていたのだろうが、結局は精算機で差額を払って、改札の外に出た。自然あふれる、というほどではなく、だからといって、ひとの気配もない。バスが止まっていたが、乗客はひとりもおらず、背もたれにからだを預けている運転手に訊くと、発車は五十分後だという。おふたりさん、観光? だったらもっと先に行った方がいいですよ。このへん、泊まる場所もないですし。善意の乗車拒否だった。

 電車の時間を調べる、と裕里は駅員に時刻表をもらいに行った。その間に幸人は、素泊まりができそうなところを探す。そういえば、電車に乗っているあいだ、一度もポケットに入っている携帯電話を開かなかった。旅館情報サイトに出てくるものは、どれも、ここから五駅先の場所に集中していた。運転手の言っていたことは、本当らしかった。ずいぶん話し込んだらしかった裕里は、時刻表片手に戻ってきた。見せてくれた時刻表は、数字と数字の間がいやに広い。やっぱり泊まる場所、ここから先に行かないとないよって。うん、こっちでも調べてた、素泊まりでもよかったんだよね。うん。そよ風が吹いた。裕里はからだを縮め、帽子を手で押さえる。それでね、歩くにも遠くて、道が入り組んでいるみたいで、タクシーだとけっこうお金かかるんだって。だから、この電車に乗って向かおうと思うんだけど、いいよね。裕里は、ひとつの時刻を指さした。三時間半後の電車だった。

 散策するなかで見つけた個人経営らしき喫茶店に入り、いたって普通のナポリタンを食べながら、店主に許可をもらって宿の予約の電話をかける。コールを待つ間、部屋はどうする? と向かいの席の裕里に尋ねる。ひとつ。その返事にためらいや自棄はなかった。幸人は頷いて、自分の名前で部屋をひとつ確保した。ありがと。裕里の食欲はいつもと比べれば、少なくとも見た目からすれば、ずいぶんと旺盛だった。紙ナプキンを差しだして、口の周り、拭きなよ、と幸人は言う。もう新たな咀嚼に入っていた裕里はフォークを置いて、その手の指で下唇を撫でる。指の腹に伸びたケチャップに、裕里はくすりともしなかった。代わりに二度、大きくゆっくりと、瞬きをして、その指をなめた。

 喫茶店に、ふたり以外の客はいなかった。そもそも、道中でいったい何人のひととすれ違っただろうか。サービスだ、といって食後に渡されたコーヒーは、これが深みというものなのかもしれない、と幸人が初めて感じたものだった。ブラックは大学に入ってすぐのときの一度だけで、いつもはせいぜいアメリカンで、大抵はミルクか砂糖を入れることが多い裕里も、湯気とともに沸き立つ香りに化かされたかのようにカップを口につける。ひとくちすすると、ようやく眉が上がった気がした。こういうコーヒーもあるんだね。うん、俺も知らなかった。そうなんだ、高校のときからいつも飲んでたのに? コーヒーもピンキリなんだよ、一介の学生には手が出ないものもある。ふーん。そう言って、またひとくち含んだ。

 この会話をきっかけに、ふたりは少しずついつもの感じに戻っていった。店主は、いつのまにか自分の分のコーヒーを淹れて、外の景色を眺めていた。ずいぶん嵩の大きいマグカップだった。外では蝉が鳴いていた。都会よりもほかの音が極端に少なく、よく耳に入ってきてしまうじゃぎじゃぎとした鳴き声が、むしろあまりうるさく聞こえなかった。窓から入ってくる日の光に、今更ながら暑さを感じた。店内は、それほど冷房が効いていなかったのかもしれない。

 もうそろそろ日が暮れ始める、という頃になって、宿に着いた。受付で必要事項を記入していると、なにもすることがなく立ち尽くしていた裕里が、女将さんらしきひとに話しかけられていた。その口ぶりから、ふたりの関係を勘違いしていることは明白だった。幸人は特に訂正せず、記入を続けた。裕里もまた口を挟まず、相槌を打っていた。

 六畳程度の部屋に、裕里はふたつの布団を間を空けずに敷いた。明日は値が張ってもいいから、ご飯が出るところにしようか、と言ったきり、日付が変わる前に裕里は寝息を立て始めた。一時間弱ほど、翌日泊まれそうな宿を探してから、幸人も寝支度をする。裕里は、幸人の方に背を向ける形で、毛布を肩までかぶって、からだを縮めるようにして寝ていた。額にはうっすら汗までかいてでもそうして寝る彼女にこのとき幸人がしてあげられることは、できるだけ音を出さずに電気を消すことくらいだった。

(続く)