ソガイ

批評と創作を行う永久機関

筆まかせ 3

 3/12

 最近はあまり小説を読む気にはならない。まあそういうときもあるだろう。いまは冊子の作成に集中したい。

 

 3/13

 ちょっとやってみたいな、と思うことがある。宮武外骨『一円本流行の害毒と其裏面談』の複製だ。「(普及目的)有断許複製」と奥付に示されているこの本を、なんとか安く作れないものだろうか。まあ、複製とは言いながら、ちょっとした補足なんかを加えてみてもいいかもしれない。

 ただスキャンするのではなく、あくまでも自分で組み直して再現したいと思うのだが、この本、傍点が何種類もあって、思いのほか組むのは大変な気がする。

 完成した暁には、百円くらいで頒布するのもよいだろう。もちろん、「有断許複製」と付して。

 

 3/18

 ここ最近は、責任編集として製作している冊子の組版を進めている。4月から本格的に仕事が始まるから、なんとかして早め早めに動きたいところ。

 当初、自分なんかが編集するものに寄稿してくれるひとなんているのだろうか、と不安に思ったものだったが、書いて欲しいと思っているひとにはすぐにでも頼むべき、とのアドバイスをもらい、自分に足りないのは良い意味での図々しさだ、と常々感じていた私は、意を決して文面で、あるいは飲み会の席で、いまこういう計画をしていまして、と話して、何人かのひとに寄稿を依頼した。結果、ソガイの2人に加え、3人のひとに作品を寄稿してもらえることになった。

 小説、詩、エッセイ、書評、論考と、さまざまな文章が集まった、まさに「雑誌」といったものになりつつある。この作品にふさわしい形を与えられるかどうかは、私の手腕にかかっている。正直、造本について勉強していくと、自分の造っているものに不備があるように思われてならない。それでも、いまの自分ができる限りのものにしてあげたい。

 そして、まだそれが完成していないにも関わらず、いまの私の頭のなかではやってみたいことがどんどん湧いてくる。ひとつは、前にも話した宮武外骨『一円本流行の害毒と其裏面談』の複製。そして、本格的な上製本を造ること。これは自分の文章でなくていいし、むしろ他のひとの文章がいい。もうひとつが、小さな新聞のようなものの定期発行だ。

 初校は終わり、来週には再校に入れるかといったところだ。さて、ここで私は最大の難所をむかえる。表紙のデザイン。私にとって鬼門となるここから、いよいよ目を逸らしてはいられなくなった。