ソガイ

批評と創作を行う永久機関

習作としての読書ノート『シュレーディンガーの猫を追って』第12回

www.sogai.net 第12回 だいぶ時間が空いてしまった。この間にはいろいろあって、他の文章を読んで論文を書いたり、それとは関係のない文章を書いたり、そもそも雑事に追われて、あまり本を読めない時期があったりもした。世の中でも様々な出来事が起きて、ま…

空気のような—鈴木一誌『ブックデザイナー鈴木一誌の生活と意見』

本という製品において、著者以外の名前にも目を向けるようになったのはわりと最近のことだ。もちろん、本においてもっとも大きく明示される名前は著者である。その他、翻訳書なら訳者、アンソロジーなら編者などはカバーにも現れる。しかし、ときには名前が…

筆まかせ 3

3/12 最近はあまり小説を読む気にはならない。まあそういうときもあるだろう。いまは冊子の作成に集中したい。 3/13 ちょっとやってみたいな、と思うことがある。宮武外骨『一円本流行の害毒と其裏面談』の複製だ。「(普及目的)有断許複製」と奥付に示され…

筆まかせ 2

3/3 近頃多発している、私側にはまったく落ち度もなく、そして避けようのない小さなトラブルに心を砕いていたせいか、とにかく精神状態が悪かった。最近でこそ、あまり気にせずに過ごすことができているが、私は一時期、とりわけ学部生時代には、ときに電車…

筆まかせ 1

2/27 なにか新しいことを始めたい、と書いた。そこには具体的に書かなかったけれども、その候補のひとつとして、古井由吉の作品をこつこつ読み進めてみる、というのがあった。古井の作品は『杳子・妻隠』『雪の下の蟹・男たちの円居』くらいしか読めておらず…

まかせた筆が描くもの

思えばここ一年、「本」や「出版」ということについて、折に触れて考え続けていたような気がする。 そのきっかけは、みすず書房創業者・小尾俊人の著作『出版と社会』(幻戯書房)を読んだことである。本書の大部分は引用が占めており、果たして純粋な「小尾…

日を待つ——森内俊雄『一日の光 あるいは小石の影』

東京堂書店の新刊棚、しかも平積みされているこの本に自分の目を疑った。森内俊雄『一日の光 あるいは小石の影』(アーツアンドクラフツ、2019年12月)。森内俊雄、三十余年にわたるエッセイ集成だ。 ここ1年、森内俊雄の近著『道の向こうの道』に感銘を受け…